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発達支援

発達障碍(障がい)の治療についての基本の考え方

発達支援

病名では「発達障害」と言いますが本来の字を書くと発達障碍となります。「碍」は「滞る」という意味で、「害」の「損なう」という意味ではないのです。育ちが滞っていると周囲が遅れていると感じる状態を理解し、成長の方向を探ったり、可能性を掴む契機を探ることが診察の基本だと考えます。

もちろん、医学的には診断基準がありますが、診断基準を満たしても、本人や周囲がハッピーに暮らせているならそれは「障碍」と考えず、豊かな個性や鋭い特性という理解で充分でしょう。
事例性と言いますが、周囲との関係で問題が起こったときに初めて医療の対象となります。本人の困り感を手がかりに治療は進みます。その人の現在の困り感を理解する中で、過去の体験がどのように今の困難に繋がるのかを共に確認します。不足してきた体験がどのような困難を招いているのかを探ります。

その内容を一緒に確かめ、どうしていくのが良いかを合意することで未来の可能性を見つめます。これが面接の進め方です。

発達障がいと治療の基本

過去とは、親たちの提供してきた、心理的な養育環境、栄養や睡眠など基本の生活習慣リズムが与える生物学的な環境、知り合いや地域社会や学校などの社会的環境の3つが相互に入り組んだ関係性が織りなす複雑な環境システムの個人史です。環境システムを整えることを環境調整と言います。親をサポートし、親の養育能力を上げていくための養育相談の基本が環境調整です。親子関係がフィットする喜びを得ることが最初の治療の目標です。

環境調整だけでは育ちを促す経験が足りない場合、プレイセラピー、心理教育、カウンセリングなど、新しい対人関係の中での育ちの促進を図るアプローチ(心理療法)を行います。心理療法の基本は、子どもが治療者と共に自分が育つ時間を分かちあうことです。well-beingと言いますが、自分をありのままで良いと感じられることを目標として、一緒にやって行けたらと思います。成長を期待して育ちを待つことが基本だと考えます。育ちをの体験を促すために、必要と思える場合、お薬を提案致します。

生涯発達とも言いますが、成長は人生が終わるときまで続くプロセスです。いつから滞りを改善する治療を始めるのでもよいと思います。
ただ、認知の成長では時間と共に滞りの差は大きくなっていきます。神経心理学的にも環境の変化を取り込みやすく、伸びが良い9歳までの時期と、それらがより緩やかになる時期があります。最近は早期の治療が良いという意見多いです。私の治療経験も早期発見、早期治療へと早まってきております。

成長を妨げるものを減らす作業は続いていく

社会体験

園や学校という同世代の子どもたちと過ごせる社会のシステムには、所属できる時期があります。学校でできる社会体験は、生きていく基本の力を作ることだと思います。自分のことは自分でする・人に迷惑をかけない・誰かの役に立つことができる・困ったときには相談する能力をライフスキルと呼びます。これが身につかないと一人で暮らしていけません。この時期の育ちで最も問題なのは、子どもが意気消沈して、新しいことを体験する機会を回避してしまい、無為に時間が過ぎてゆくことです。静かに過ぎ去った経験を積むべき時間はなかなか取り戻せません。

これらマイナス思考と回避の悪循環の典型が不登校からのひきこもりです。もちろん、時間が熟し、解決をもたらしてくれたようなひきこもりの方も居ます。20歳を過ぎた頃からバイトを始めたり、高卒認定資格をとり、再び学びの場面に戻ってくる人たちです。でも3/4の方はそのままです。この時期に相談を受けて難しいのは、本人に病名がつく状態ではありませんから、親が根気よく相談を付け、親の変化が子どもに伝わって子どもが動き出す努力しか手立てがないことです。
病院勤務医だった頃、親が定年前の60歳頃になり30歳のひきこもりの医療相談を受けることがありました。その頃になると成人の発達障がいや何らかの精神障害が明らかとなり、医療的な手立てに乗れる方もおりました。しかし、10年以上このような生活が続くと、不満はあるけれども日々の安定があるので、諦めてしまい、相談が続かなくなる方の方が多かったです。その先で親の死後1人暮らしが出来ず、保健所の訪問要請が出る80/50問題が生まれてました。

こういった体験から、学校に通うことが全てではないが、学校が嫌いで生きたくないことは未来の選択肢を狭める大変なことだと思うようなりました。成長を妨げるマイナス思考を減らし、回避を減らす作業はずっと続いていく課題だと思います。

実際の治療について

今を生きるという人間の時間には「もし、あの時、していれば」がありえません。本人も家族も日頃見逃しがちな回避行動の影響は深刻だと思います。取りあえず、私の過去の治療体験で知っている時間との関係から提案をいたします。もちろん、選ぶのは本人と家族です。

初診時にお話を伺い、お子さん(自分)の得意と苦手と認知(理解)の癖を明らかにする発達検査の組立を提案します。次回の親子同席面接で親子の関係性の評価をします。この2つの初診面接と検査の終了後2週間ほどで結果をまとめ、フィードバックの説明をして自己理解や子どもの理解を深めます。理解の上で治療の提案を致します。

典型的な提案の1つが、薬を使う提案です。他の方法では時間的に厳しいと考える場合です。薬は、育ちを促す契機にはなりますが、発達障がいは薬で治るのではありません。薬が心の切り替えをよくしてくれるとき、個人的な体験の理解が深まることで成長が促されるのです。それまで出来なかった視点が得られたり、人との関わりが持てたり、社会が拡がる体験が起こりやすくなるのが薬の役割です。

2つめはカウンセリングあるいはプレイセラピーです。カウンセリングには幾つかの形があります。
基本は親御さんへの環境調整のアドバイスです。親をサポートし、親の養育能力を上げていくための養育相談です。親子関係がフィットする喜びを得ることが最初の治療の目標です。
お子さんが園児や小学生となり、親を通じての環境調整だけではその子の育ちを促す経験が足りないと思える場合、また、本人も不安やイライラが高く、腹痛や痛みなど、身心に影響が現れている場合は、その子にあったプレイセラピーを提案し、本来の健やかな育ちを取り戻す支援をします。そのためにプレイルームを用意しております。
小学生以上になり、言葉でのやり取りの力が育っていたり、感情表現を伸ばしたいときにはカウンセリングを提案します。対人関係など場面がはっきりした場合にはソーシャルスキルトレーニング(SST)のような教育的アプローチもあります。多様な形に対応できるように2つのカウンセリングルームがあります。学習障害で勉強に自信を無くしているお子さんの場合は、LDの検査をした上で、その親子にあった学習支援的な関わりを提案したり、トレーニングをして下さる先生をご紹介することもあります。

もちろんカウンセリングだけの方も居られますが、平均的には、両方併用している方が多いように思います。

今後

自分たちの見えない未来を決めて行く上で専門家だけでなく、同じ体験をした立場の人の意見を参考に出来たらもっと良いと思っております。当事者同士のグループ・母親のワンオペ育児の孤独を解消する仲間の繋がり・LD勉強会・・。まだそのような仕組みは用意できておりませんが、クリニックという場を作ったので、いつかは仲間を募り用意したいと思います。

院長
小川 恵(おがわ さとし)
診療科目
児童精神科、精神科、心療内科
電話
03-3662-4970
住所
〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町1-6-1
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最寄駅
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診療時間
●:土曜日は9:00~13:00まで
休診日:月曜、火曜、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日
  日祝
9:30~13:00
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