東京都中央区日本橋馬喰町1-6-1
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コロナウイルス支援

新型コロナウイルス感染症の
心理的影響を乗り切るために

クリニックに通われる皆様とのお話しの中で、新型コロナウイルス感染症の心理的な影響が各所に出だしております。

  • 長い春休みで子どもが夜も寝ないほどのゲーム依存になっていて、時間制限が出来ません。
  • 子どもがイライラして物を壊したり癇癪を起こします。
  • おねしょが出ます。夜突然泣き出します。
  • 育児で夫に協力を求めたら、夫が子どものゲーム機を取り上げ壊してしまい、子どもを威圧してることを理解しようとしません。
  • 歳をとった家族が、感染症に対して不安感が強くなり、出勤前に泣きながら「仕事に行ってほしくない」と訴えます。
  • 家族が濃厚接触者だったため知り合いに言うに言えず苦しかったです。
  • 在宅待機になった夫は寝ているばかりです。起こせば不機嫌ですぐお酒を飲んで荒れてしまいます。

これらは制限されストレスを感じる状況下(隔離状況)で起こるストレス反応の一例です。
東日本大震災後の避難所・仮設住宅で一般的になりました。

色々な質問も出ております。

  • こころやからだの健康を守るためにどうしたらよいか
  • 子どものストレスにどう関わったら良いか
  • どうしても子どもだけ家に居る時間が出た場合どうしたら安全か
  • 家族に感染者が出たらどうするのか

先が見えない不安と制限や自己責任が生みだす心理に気づいたら、正しい知識を選ぶ事、情報被曝をコントロールすること、相談が基本です。

隔離状況では、親が自分のストレス蓄積に気づいて自分で調節したり、親子で癒し合う工夫が大切です。

不安・恐怖、怒り・フラストレーション、うつ・倦怠・孤独、悪者視され異物扱いされる恐怖と非常識な行動を非難する怒りの沸騰
進むと、気分の高ぶり、危険を顧みなくなる、没頭、集中力低下、作業能率の低下、不眠悪夢・動悸・発汗・立ちくらみ

隔離状況での子どものストレス蓄積に気づいて、安心安全を与える関わりが基本です。

急性のストレス反応
甘える・心配になる・元気が出ない・悲しくなる・おねしょをしてしまう・いらいらする・怒りっぽくなる・喧嘩が増える・没頭する
慢性化してくるときのストレス反応
腹痛・頭痛・不眠・食欲不振などの身体化、赤ちゃん返りと癇癪、失禁や夜尿、遊びでの不安な出来事の再現

情報は必要ですが、不安からニュースを見続けていると、情報過多で緊張し判断の偏りが起こりやすくなります。これを情報被曝と言います。親の緊張は子どもに伝染し、親を緊張させる悪循環となります。特に今回のように厳しく先の見えない状況での情報被曝は、惨事ストレスと呼ばれる心の傷を残す体験となりやすいです。ですから、適切な情報と接触時間制限を意識することで、対処出来る意識を高めましょう。
自覚しにくいのですが、通学や出勤しないこと自体で身体的疲労が減り、睡眠が悪化し、緊張やストレスの回復が悪くなります。
崩れがちな日常生活習慣(動く・食べる・排泄する・眠る)を意識して守ったりつくる行動が基本です。
3食と睡眠と運動を意識的にすると安心安全感が得られます。
互いが近く窮屈に感じるからこそ、寛容さをつくる感謝や労りの言葉掛けが感情のメンテナンスをしてくれます。
思うに任せない日々の中で、自分たちの健康を保つ新しいルーチンを作って守ることで、状況に対処出来ているという自己効力感が得られます。

適切な情報や欲しい情報やセルフヘルプについて少しでも支援になればと思い、情報サイトをまとめました。

子どもの安心・
安全確保のために

子ども自身が自分で適切な情報を得る感覚を持つために

子どもの不安へ親が対応するために

  • 子どもの不安へ親が対応するために・予防する環境・関わり方 [PDF](セーブザチルドレン・日本臨床心理士会・日本公認心理師協会)
  • コロナ感染症について子どもたちへの伝え方
    Talking with children about Coronavirus Disease 2019(CDC:英語ですがブラウザが翻訳してくれます)
    Helping children cope with stress during the 2019-nCoV outbreak [PDF](WHO:英語)
  • 子どもたちの不安への大人の対応の仕方(WHO・UNICEFの『Healthy Parenting』の翻訳)
    1. 1対1の時間をつくる・・子どもと向き合う時間を作る・波長合わせをして遊び、不安を忘れる時間を過ごす
    2. 肯定的でいましょう・・禁止や命令でなく、して欲しいことを分かりやすく肯定的にとれるように依頼をする
    3. 新しい日課を作る・・中断された日常生活の代わりの日課と感染対策を日課に組み込む
    4. 悪い行いへの方向転換を・・立ち止まる・提案する・挽回のチャンスを与える
    5. 焦らずにストレスマネジメントする・・孤独にならないように話をし、焦りのひま潰しでなく緩む休憩をとる
    6. 新型コロナウイルスについて話をする・・「うん/別に」でなく、気持ちを引き出す聞き方で

大人たちが自信を持ち
子どもと関わるために持つと良い知識

新型コロナウイルス感染症のもたらすストレスへの基本的な対処や支援の考え方を日本児童青年精神科・診療所連絡協議会HP(HPよりPDFダウンロード可能)を中心にまとめました。要約が下記箇条書きですが、その具体的な内容や考え方を深めて知るためにそれ以降のURLを紹介しました。自分の理解を深める参考にして下さい。

学校が休みの間の家での過ごさせ方

  1. 規則正しい生活と適度な運動やリラックスできる時間をとること
  2. 感染拡大防止に気をつける行動を教える
  3. 不安をあおりがちなメディアに接する時間を減らすこと
  4. 家族や親せき、友人などの親しい人と話す時間をもち、孤立しないようにする
  5. ストレスに伴う心理的な反応について気をつけること。

保護者が意識すること

  1. 保護者自身の体調維持努力を子どもと行う
  2. 正しい情報を公的なホームページなどで得て子どもにも伝える
  3. 親子とも不安を煽るメディア被曝を減らす
  4. 親子や知人と話をして、親子とも孤立を防ぐ
  5. 子どものストレス蓄積に気を配り対処する際、過去にストレスを乗り越えた体験を思い出す
  6. お酒やタバコなどに頼りすぎない(自己管理できているか意識する)
  7. 自分の心理状態を把握する(優先順位を付けられる余裕があればうつではない)
  8. 必要なときには周囲に相談を(家族・同僚・専門家)

自分たちが状況に対処出来ているという感覚を
家族のそれぞれが増すために

困難な状況に対処出来ないと感じるとき、私たちの内なる力(対処可能性)が削がれてしまいます。この状態をディスパワメントと呼びます。不安により自信のなさが生まれ、他者を避ける孤立をすると、怒りやすくなり、育児での対応が強くなりがちです。だからこそ、まず大人が自分の感情を見つめコントロールする心の余裕を持つ意識をすることが大切です。落ち着いた大人は、子どもが自分がコントロールできることに焦点を合わせることができます。自分の内なる資源や力を意識して取り戻すことをエンパワメントと呼びます。遊びや余暇以外にも、対処能力を上げるためのこころの訓練があります。子どもの力を上げる基本は、何でも子どもと一緒にすることです。子どもの健康な自己が膨らんで行く笑顔を見て、子どもの感謝や羨望の眼差しにふれるとき、親の自己効力感もふくらみます。そういう余裕もないときは適切な相手に相談して、自分の孤立や緊張を下げることが大切です。愛着という言葉で知られるボウルビーは大人の定義を「適切な場面で適切な相手を頼ることが出来れば大人である」と言ってます。親が大人である模範を子どもに示す大切な機会です。

親が孤立して不安にならないために相談したり、子どもをみる手助けをして貰う

子ども家庭支援センター・ファミリーサポートセンター利用・一時保育・ショートステイ・チャイルドラインなどが安心出来る相談先です。

家庭での学習支援

タブレット教材について

日常的な学習は、退屈さへのストレス耐性を上げ、自制能力としての忍耐力をあげる訓練です。このしんどい努力を親が一緒にすることで子どもは自分で対処し解決する力を獲得します。しりとりや絵本の読み聞かせなどは訓練を楽しいことに変える魔法です。ですから自制能力が低い時期にタブレットなどICTを与えると好きなことにだけ関心を払い、我慢せず偏った好奇心の示し方をする子どもに育ちます(これは定型発達の話で、読み書きに困難があるLDがある子たちはしりとりや絵本の字が苦手です。だからICTによる補償が必須です)
しかし、現在の学校が休みの現状では、音読や書き取りなど従来通りの読み書きによる学習だけでは時間不足になってしまいます。そこで、タブレットなどのICT学習による新しい学びの時間も選択肢になります。
親御さんから、どのような教材が良いかという声があったので、1つ紹介します

健康な生活のために

緊急事態宣言が解除されました。東京アラートは続きますが分散登校も始まり、6月末を目指して学校が本格していきます。 親の仕事も本格化します。
登校で疲れることで健康な生活習慣リズムが戻り、早寝をして朝ご飯を食べるようになった子どもはおそらく学校に戻れます。健康な子どもたちの生きる力の現れです。
気になるのは、3ヶ月という長い休みの間に、今まで身についていた学校社会で頑張るというストレス耐性(我慢する力)が崩れた子です。
腹痛や頭痛などの身体症状、不安やこだわりの悪化など、登校へのストレス反応が出ている子どもが散見されます。おそらく、学校が本格化していく7月頃には、元気で輝きを増す子たちの傍らで、引け目を感じうつ傾向を示す子どもが増えると思います。
今問題なのはstay home 中ほかに楽しいことが見いだせず、ゲームに依存してきた子どもが、学校に向けて方向転換出来ないことです。
彼らの中には完全に昼夜逆転して親の方が為す術ない子もいると思います。親が登校日にゲームを辞めさせようとすると、怒る、我を忘れるなど手が付けられないなど、ゲーム依存の禁断症状が激しく出ます。たかがゲームだから親が本気になれば止めさせられるという信念が崩れ、為す術のない親御さんも出てくると思います。

インターネットゲーム障害 (DSM-5 研究枠 2013)
以下の項目の内3つ以上あてはまる

  1. コントロール出来ない
  2. ゲームを最優先
  3. 問題が起きているのにやる
  4. とらわれ
  5. 離脱症状
  6. 耐性
  7. ウソをつく
  8. 憂さ晴らし
  9. 仕事や人間関係を失う

学校に行き渋る、朝起きにくくなる、こだわりが強まる、既にある発達障碍の症状がひどくなる、そういう場合、どのように子どもと関わるのが良いでしょうか。

健康で自信に溢れている時は気にしないような常識を意識することです。つまり、決まり切った生活のリズムを立て直すことです。
身体を動かして疲れると早く寝くなります。ぐっすり眠れると不安が減り、脳の緊張も下がります。早起きしても寝起きの気分も良く、時間もあるので朝ご飯も美味しくなります。食事をすれば食後に便も出ます。

それと逆になります。

情報被曝で不安や緊張を高め、しかも運動不足で疲れも出にくい生活です。
気付かないからこそ、緊張を下げるため気分転換ができません。ついで夜更かして、朝寝坊になりがちです。

生活習慣リズムは2週間で崩れますが、直すには2ヶ月掛かります。だからこそ、少しずつでも整えていく意識が大切です。
そのためのヒントを用意しました。参考にしてください。

院長
小川 恵(おがわ さとし)
診療科目
児童精神科、精神科、心療内科
電話
03-3662-4970
住所
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